拘留孫仏
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人を拒む峰に聳える巨石
宮古の西、牛伏地区から茂市テレビ中継塔方面向かう林道から左にそれた山道に古めかしい木の鳥居がある。この鳥居を潜りほぼ直角に近い角度で山をジグザグに登り傾斜のきつい尾根にわずかばかりについた道を行くこと約40分で482メートルの山頂付近にある大立石神社の本宮「拘留孫仏」に着く。周辺には想像以上の大きさの巨大な岩塊が露出しその一部は約20メートルほどの立石で天に向かって突き立っている。岩の規模や数では牧庵鞭牛和尚が開山したという南川目の十三仏に劣るが、そのシンボルでもある立石はかなりの迫力だ。
拘留孫仏は釈迦如来が世に現れる前に出た仏でバラモン教にも通じ、釈迦を加えた七仏のひとつとされる。七仏は毘婆尸仏(ビバシブツ)尸棄仏(シキブツ)毘舎浮仏(ビシャブブツ)倶那含牟尼仏(クナガンムニブツ)迦葉仏(カンヨウブツ)釈迦牟尼仏(シャカムニブツ)そして拘留孫仏(くるそんぶつ)を言う。しかしどうしてこの地にそのような仏教より古いの仏が奉られているのかはわからない。
立石の下に奉られた石宮は昭和48年に別当により改修されたもので、横には石の獅子頭や奉剣が奉納されている。伝説では昔立石はもっと高かったが天狗が蹴ってしまい折れたと伝え、尾根下の沢には折れた部分があるのだという。立石の上部には三体の石仏がおのおの各方向に向けて立っており、この方角にも何らかの意味がありそうだ。
立石からは北東に遠く宮古湾、月山、北に亀ケ森や源兵衛平が見渡せる。また南西にはサンボトジ頭(687)が聳える。ちなみにサンボトジの意味は三方、すなわち新里、川井、宮古の三方を閉じるという境界線のある山という意味ではないかとも言われている。