鰐口と梵鐘
提供:ミヤペディア
鰐口(わにぐち)とは、寺社の堂前につるし参拝者が打ち鳴らすもので、名前は大きく開いた口に由来する。田代の鰐口は、地元の一有力者が夫婦で名前を記して寺社に奉納したもの。江戸時代の初期にほぼ同時期に作られたものだが、製作場所、作者などは不明。
一方、田老の梵鐘(ぼんしょう)と鰐口は、江戸時代の終わりごろに作られたものだが、願主は個人ではなく、連名で奉納されたもの。また梵鐘には山口村の鋳物職人が作ったことも記されている。平成3年の山口での発掘調査では、鋳物工場跡が見つかり、梵鐘、鰐口、鉄瓶などが作られていたことが分かった。
鰐口についても、製作時期、世話人が梵鐘の願主に名を連ねていること、デザインの類似などから山口村で製作された可能性が高い。
江戸時代すでに漁業の町として栄えていた「港町みやこ」で鋳物の生産が行われていたことは併せて記憶されてよいことである。
出典:広報みやこ「新ふるさと博物館」