山姥伝説
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佐羽根の山姥伝説
佐羽根の田老寄りにある鍋倉山という険しい岩山の中腹に「山姥の岩穴」という洞窟がある。穴は間口約2メートル奥行約5メートルで、その昔、この岩穴に山姥が住んでおり、眼下に見える田老街道を行く人を襲っては岩穴に運び食っていたという。このため人々は山姥を恐れ佐羽根から小田代を経て田老へ向かう遠回りをしていたと伝えられている。
佐羽根の古老によれば山姥伝説は子供の頃から聞かされた話で、通行人を襲うばかりではなく、村人に吉凶を知らせたり、怒らせると山津波や鉄砲水などを起こす山神、祟り神のように伝承されてきたという。伝説によれば山姥は老人に化けて田代舘八幡神社の縁日で行われる賭け矢の会場に行ったところ、田代川にかかる橋で影が水面に写らないことから正体が知れ、神社の矢で射ぬかれてしまったという。以来、田老-田代間の街道は再び往来が盛んになったという。この話は古くから伝わる山姥の民話として田代地区では今も語り継がれている。