剣舞と七つ物
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死者を弔う伝承芸能
小中学校の伝承活動にも取り入れられている剣舞と七つ物は死者の霊を弔う目的ではじまったものだ。現在宮古では牛伏地区、田代地区、根井沢地区、長沢地区に剣舞や七つ物が郷土芸能として残り、お盆に舞われている。
これらの由来はその昔、その地区で大きな戦があり大勢の死者が出たとか、飢饉で大勢の人が死んだためその霊を弔うものとされるが、基本的な考え方はお盆に現世に舞い降りた様々な魂を盆の十六日に霊界に戻そうという願いが込められており、そのため念仏剣舞とも呼ばれる。
剣舞と七つ物は別々のものだが、牛伏などのように剣舞の演目の中に七つ物が取り入れられている場合もある。しかし、どちらの舞も霊を祓い清めるという目的を持った舞であり、舞う際に手にする各種道具には刃物を模したものが多く刃物の霊験で死者の魂を断ち切ろうとする考えが込められている。
剣舞の演目は舞われる地区によって違うが長剣を持って舞う「高太刀」棒を持って舞う「綾おどり」など五曲ほどの種類があり、お盆などで地区の各家を回る門打ちでは一~三演目が披露される。囃子やかけ声には随所に「南無阿弥陀仏」という言葉が入り文字通り念仏を唱えながら舞う。
素人目には剣舞と七つ物を混同している場合があるが、剣舞の衣装は着物に防具を模した武者飾りを付けるのに対し、七つ物は剣や薙刀は使うものの防具を模した飾りがない点で区別される。
お盆に古くから祖霊供養のために舞われた剣舞だが、最近はその芸能を伝え残そうと千徳小学校が牛伏七つおどり、同中学校が牛伏剣舞を、田代の亀岳小学校が田代剣舞、同中学校で田代七つ物が伝承活動として継承している。