チョウセンアカシジミ
チョウセンアカシジミは、開いたシジミ貝と形や大きさが似ていることから名前がつけられたもので、シジミチョウの一種。
名前の通り朝鮮半島やロシアのウラジオストク周辺そして日本に生息し、日本海をとりまくような珍しい分布をしている。日本では、岩手県、山形県、新潟県のわずかな場所にしか生息していない。
チョウセンアカシジミは、本市の田代川、神田川、摂待川流域に生息し、人家の点在する開けた明るい場所に見られる。それは幼虫のエサとなるデワノトネリコの木が生えているからで、宮古の市街地や閉伊川流域にはチョウセンアカシジミが食べられない別の種類のトネリコしか生えていないため、その姿を見ることはできない。
七月初めには蝶になって飛ぶ姿が見られ、毎年開かれる観察会では、ちょうどお昼ごろに産卵するようすが見られる。梅雨の時期は、やませが入りあまり活発に飛ばないが、葉っぱに止まっている蝶をそっと指に移して観察することもできる。
出典:広報みやこ「新ふるさと博物館」
氷河期に封印された希少種、チョウセンアカシジミ
チョウセンアカシジミは、氷河期を経たはるか太古の昔に大陸から渡り限られた地域に陸封された希少種。鱗翅類シジミチョウ科に属している。この蝶は名前が示す通り朝鮮半島、中国北東部、ウスリー、アムール地方だけに分布すると考えられていたが、昭和27年(1952)当時の宮古高校教師・山本弘氏(山本氏については本誌2007年2月号『宮古人物列伝』参照)により田野畑村での発見が報告され、以後の調査により日本国内では岩手、山形、新潟などに生息していることが判明した。岩手県内では宮古市の他、田野畑村、岩泉町、普代村の沿岸町村の他、内陸の岩手郡内に生息地がある。 宮古市では昭和61年(1986)この蝶を保護するため、市の天然記念物に指定、有志らによる「チョウセンアカシジミの会」とともに保護活動や毎年の観察会を行っている。