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氷渡探検洞

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目次

探検の先に発見と感動が待っている

氷渡探検洞は、龍泉洞から北へ約23キロの安家地区にある。安家洞からも約3キロほど離れた地点にあり、この地区は大型鍾乳洞を二つも抱える洞穴の宝庫でもある。ここは観光的な鍾乳洞とは若干趣が違い、真っ暗な洞穴をガイドの案内で進むという、まさに探検洞である。
その総延長は支洞を合わせて3850メートルほどが確認されている。洞内には、つらら石、フローストーン、石筍など、自然が何憶年もかけて作った鍾乳石が発達しているほか、コウモリやトビムシなどの洞穴生物が存在している。
氷渡探検洞は、こうした自然をそのままに保存しながら、約500メートルのコースを公開しているもので、ガイドと共に真っ暗な中をヘッドライトを頼りに、岩場を越え、狭い穴を這いつくばって、さらに水をかき分けて進むというもの。自然をそのまま体感できるとあって、全国から多くの人の人気を集めているが、入洞するためには人数予約と、入洞前のビデオ研修を受けなければならない。また入洞は週4日で、一日午前、午後の2回となっている。

水をかき分け神秘の闇を行く

入洞するために氷渡探検洞研修施設で受付をし25分のビデオ研修を受ける。ビデオは洞内の紹介とマナーの注意。「写真以外とるな。足跡以外残すな」と自然の大切さを訴える。早速、汚れてもいい格好に着替える。また、台風や前線の影響で雨が続いた天候の後は洞内は増水し、あまり奥へ進めない場合もある。一応濡れてもいい体制にし、ヘルメットにヘッドライトを装着。気分は地底探検家だ。
研修施設から徒歩で数分。洞の入口でヘッドライトを確認。中の温度は常時摂氏9度。ひんやり冷気が漂うが意外と寒くない。ヘッドライトの明かりも充分に足もとを照らしてくれる。時折ヘルメットに「ゴツッ」という音。探検洞ならではの気分だ。
最初の広いホール、長慶の間に着く。フローンストーンやカーテンの鍾乳石が歓迎する。二次生物も見られる最初の場所だが、白く小さいものが我々にも確認できた。立命風洞という場所を越え、180メートル地点の分岐点に到着。ここから左右に分かれていて、右は不帰の道と言われ迷路となっている。
探検洞は左側の道。奥へと進むと途中、神秘的な数々の鍾乳石を間近にすることができる。幻の滝と呼ばれる場所から滝に向かって設置された階段を登り次の洞穴と向かう。大きな崩落跡の場所を越える。高さ5メートルの石柱、自由の塔に出会った。素晴らしい造形美。その美しさは多くの人を魅了する。その先約60メートル地点が探検洞の最終地点、きらめく星座に着く。正面の壁が、細かな方解石が結晶したフローンストーンで覆われている。その輝きからダイヤモンドホールとも呼ばれ、その自然美が探検洞のフィナーレを飾ってくれる。
帰路は同コースを戻る。時間にして約1時間半。心地好い疲労感がなんとも言えない。

氷渡とは

かつてこの地区はシガワタリと呼ばれていたようだが、それが訛ってスガワタリに転訛したと伝えられている。
岩泉地区には大小約120個ほどの洞穴があり、氷渡洞の存在は古くから知られていた。調査隊が足を踏み入れたのは昭和36年。当時は90メートルしか入れないと考えられていたが、その後さらに奥を発見し、奥深い鍾乳洞であることが確認された。洞内は降雨以外に水が流れ出すことはないが、公開されていない奥には水深40メートルの地底湖がある。また洞穴は上下二つの大きな鍾乳洞に分かれており、上の竪穴は「坪沢穴」と呼ばれている。探検洞はこの下の穴部分になっているが連結も確認されている。今だに進化を続ける鍾乳洞だが、その全容はまだ未知のもの。次なる発見が待たれている。
氷渡探検洞入洞料金
 区分 一人1回 大人 1.530円 高校生 1.530円 小中学生 1.020円
 団体の場合 一人1回 大人 1.330円 高校生 920円 小中学生 710円  原則として小学校5年生以上及び体力に自信のある人

  • 公開日・時間・入洞者数
  • 公開日 火・木・土・日(8/15、16、12/27~1/5は休み)
  • 時 間 午前9時受付、ビデオ研修後入洞 午後1時受付、ビデオ研修後入洞 所要時間約2時間

鍾乳洞豆知識

鍾乳石
洞穴ができた後にその内部で二次的に生成されるもので、石灰岩の主成分である炭酸カルシウム溶液(乳水)があつまってできた石(鍾)という意味。炭酸カルイシウムは、炭酸に溶ける性質を持っている。雨水は空気中や土の中に多量に含まれている炭酸ガスを溶かして弱い酸性となり、石灰岩の割れ目に浸透していく。石灰岩は割れ目の少ない岩石だが、目には見えない程の小さな割れ目はたくさんあり、この割れ目からポタリ、ポタリと落ちる炭酸カルシウムを含んだ水が、鍾乳石をつくる。
鍾乳管
洞穴の天井の割れ目からしみ出てくる炭酸カルシウムを溶かしている水は、水滴となって下に落ちる。落ちる前にその水滴はしばらく天井で止まって、その間に炭酸ガスが放出されて水の表面に炭酸カルシウムの小さな結晶ができて薄い膜が作られる。水滴が大きくなってそれに働く重力が岩と水滴の付着力よりも大きくなると、炭酸カルシウムの膜は破れて、中の水は水滴となって下に落ちる。炭酸カルシウムの膜は水滴の付いていた根元の周囲に水滴と同じ直径の環を作る。同じことを繰り返して、環は長さを増し、中が空洞の薄いパイプとなって下に伸びてゆく。これが鍾乳管で、麦わらの形に似ているのでストローとも呼ばれる。
石筍
鍾乳管などの先端からの水滴が、洞穴の床の上に落ちると、水滴の中に残っている炭酸カルシウムの大部分が結晶になって出てくる。水滴は当然四方へ広がるが、その中心部に一番多く結晶ができるので、水滴の落ちてくる方向、つまり鉛直線の方向にだんだん高さを増していく。それが石筍だ。
フローストーン
壁や床を伝わって流れる地下水が、面状にうすく表面をぬらすと、結晶して出てくる炭酸カルシウムが、広い面積でそこを覆うようになる。結晶は面に直角で、ぎっしり柱状に並んで伸びていく。これがフローンストーンで、ちょうど土の上に出来る霜柱が、一ヵ所に密生しているようなもの。
カーテン
洞穴の天井や壁が傾いていると、しみ出した水は壁を伝わって筋結合し薄い膜状になり、水が補給される間はずっと成長を続ける。これがカーテンと言われる鍾乳石。
洞穴さんご
洞穴の水流に近い壁面に生えたようにできる小さな鍾乳石。太いものでも3センチ程度のものだが、さんごのように枝分かれしているもの、きのこのように先が太くなっているもの。先が細くなっているものなど、形に変化があっておもしろい鍾乳石だ。

関連事項

地図

https://goo.gl/maps/5yfTW

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