松月海岸
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2014年10月23日 (木) 13:25時点における最新版
[編集] 防波堤などの人工物がない自然海岸
宮古市内で陸中海岸国立公園のエリア内にあり、唯一、防潮堤や船溜りなどの漁港整備がなされず、自然のままの姿を今に残しているのが松月海岸だ。
この海岸は海岸の全長は約一キロほどの小石混じりの砂浜で、南側にはウニやアワビの宝庫とされる「赤岩」をはじめとした岩礁地帯が広がり荒波をうけて波しぶきが飛翔する。
宮古周辺の海岸を含む陸中海岸国立公園内の漁港のほとんどが漁港整備等の開発によりその姿を変えてきた歴史の中で、松月海岸だけがどうして昔のままの姿を残したかというと、この海岸で漁業に従事する人が少なかったことにある。加えて津波などの災害に対する整備に対しても海岸から民家や畑が遠く、海岸保全地域外になっているからだと考えられる。
昭和三十年代から四十年代にかけて、宮古下閉伊地域の海岸のほとんどが陸中海岸国立公園となり国直轄管理となった。それに伴い自然保護、観光資源として開発に規制がかかると同時に、津波などの災害防備、海岸に依存する漁家のために漁港整備が行われ、海岸は本来の姿からより便利で安全な港へと改良されてきた。しかし、便利で安全な海は本来の景観を人工物で埋めつくすとともに、潮流変化に伴う漁業資源の枯渇にもつながることから、最近は過去に行った開発整備を見直し海岸を元の姿に戻すための整備も行われているという。松月海岸で漁業を営むのは地区の数軒の漁家だけで、アワビ等の口開けなどにはコロを使い地区民総出で波に向かって船を出す。陸中海岸国立公園の中にはこうした開発や整備の手がかからなかった場所がいつくかある。それらの海岸は太古のままの姿を残しながら大自然の雄大な営みを私たちに教えてくれるのである。